長尾一哉の情熱熱風ブログ

第2回「理想と現実の間?超現実主義の理想経営」

第2回「理想と現実の間?超現実主義の理想経営」

2007年07月20日

 

WHY(なぜ存在するのか)を問い続ける企業と目先の利益を追う企業



今回はビジョン共有講座の第2回目。

「理想と現実の間?超現実主義の理想経営」と題し、

さらに理念・ビジョンの意義について考えてみましょう。

というのも、『理念やビジョンといった夢を語る概念では、

とても今の厳しい経営環境を乗り切っていけない』と考えている

経営者が意外に多いと感じているからです。



前回、社員が

『「こうなりたい!」という意欲を持っていない』

『社長が社員に考えさせない、考えることを期待しない』

組織には理念・ビジョンは不要であるということでした。

高いレベルの自己成長に執着する個人が大勢いるからこそ、

彼らが納得し、社員全員で共有出来る価値観とビジョンが

必要となるのでしょう。

社長がそういった個人をそもそも創ろうとしておらず、会社を自己成長が

可能となる『場』としても位置付けていないのに、

理念・ビジョンを語ると「夢の概念」に映るのです。

つまり社長の視点・目線が低いから、社員の視点・目線も低くなっているという

ことが前回のお話でしたが、今回のテーマは、

「現実主義で理想を軽んじる会社」の事例をお話しします。



先日とある社長様(売上30億・社員数25・名不動産業)から

こんなご依頼を受けました。

「社員には当社の『あるべき姿』について常日頃私から話し、皆が

その気になれる施策もいろいろ打って来た。

しかし、うちの社員は勉強しない、教えてもすぐ忘れてしまう・・・。

部長連中も何て言うか・・役に立たない。

なんとか会社を回そうと思い、自分が現場まで降りていく状態。

僕は会社を「よく」したいんだけど、何か良い方法はないですかね。」

我々はこのお会社様にビジョン共有プログラムを導入しました。

その結果、社員様から出てきた会社成長の阻害要因は以下のようなものでした。

・    社長が社員の存在を認めていない。何を言ってもすぐ否定する。馬鹿にしている。

・    決定事項は上長からではなく、全て社長から下りてくる。

・    顧客満足を標榜しているのに、クレームに十分な対応を

せず自社利益を最優先にしている。

・    期初目標は提出するだけ。評価のフィードバックはなく、上長に

聞いても理由がわからない。

・    社長が話す理念・ビジョンは対外的なお飾りだ。



この社長の言行不一致は激しく、ゴールの目線が非常に低く、

ビジョンが目標ではなく、目先の利益が目的のようでした。

対する社員様も依存心の高い方が多かったように思います。

これは、互いが作用して現実に追われていった事例だと考えています。



では次に「超現実主義の理想経営を実行されている会社」の事例をお話しします。

とある社長様(売上50億・社員数80名・産業廃棄物処理業)からの相談で

「当社が今後さらに大きくなっていくためには、ミドルマネジメント層に

もっと強くなってもらう必要があります。当社は理念をとても大事にし、

同時に社員に成長を喚起し、成長の為のツールも授けてきたつもりです。

しかし、今ひとつ社長として実感値が持てない。

彼らの本気が見えないんです。何か良い施策はないでしょうか?」



この企業にも我々はビジョン共有プログラムを実施しました。

そこから浮かび上がってきたのは

「圧倒的な成長をすれば、現在の問題のほとんどは解決できる」という

目線変更に気付いていただくだけで、ほとんどの社員様が「本気」の壁を

越えることが出来たということです。

日頃からWHY(なぜ在るか)を社員に考えさせ、顧客よりも顧客について

深遠に考えさせ、個人が自由意志でビジョンを目指し、一方で彼らの

スキルアップをキリキリと音がするくらい締め上げ、「実力」を身に

付けさせていたこの企業は、このプログラムの後、急激に売上が伸びました。



それはなぜか・・・。社長曰く

「売上・利益のために経営してるんじゃないんです。

それじゃああまりに味気ない。社員だってついてきてくれないでしょう。

私は、個人の力を信じている。自由な世界を信じている。

だから社員にもその世界を見せてあげたい。

しかし、そのためには、超現実主義に徹する必要があると思っているんです。

気持ちで経営しちゃあいけない。

理想とは冷徹の先にある澄んだ世界なんですよ。だから、手にしたい。」

社長のビジョンは売上500億円です。



皆さん、いかがでしょうか?

モノと金は消費されますが、ヒトは消費されない。

しっかりとした環境を提供してあげればヒトは無限に成果を

出し続けてくれるのです。誤解を恐れず言えば、こんな安価な資源はないのです。

皆さん、理念(会社は何を最重要と考えるのかを示した価値観)について

今一度考えてみませんか?成長の起爆剤になる可能性は十分あるのです。







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