第三回『解る!人事制度の創り方』-人事制度の概念を革(あらた)める-
2008年01月28日
今回は、人事制度に対する捉え方について問い直し、定義をしていきたいと思います。
経営者の中には、人事制度をしっかり作り込んで来た方や十年以上前から一切触って
いない方、様々だと思います。しかし、最終的に自分が下した評価が、最も正確で、
社員も納得できる評価であると概ね考えれられているのではないでしょうか。
経営者にとって、やはり自分の会社は可愛くて仕方ありません。
社員が評価に不満を撒き散らして存続が危ぶまれるような事態には、
どんな経営者でもしたくはないはずです。
また、人事制度は社員の生活を保障する『賃金』の支給ルールについて定めたものでも
あります。経営者なら、その重要性について論理でなくても、感覚的に少なからず感じて
いるのではないでしょうか。
しかし、この人事制度が実は「自社の理念(自社の重要な考え方)を社員に浸透させる
ための浸透ツール」であり、「育成力アップのための最も有効なマネジメントツール」で
あることに気付いていない経営者は意外に多いようです。「人事制度=利益分配の制度」
としか考えていないようであれば、人事制度を有効に活用できているとは言えません。
ここで、しっかりと定義しておきましょう。
人事制度とは、社員の自律的な行動をマネジメントできるツールであると同時に、
社員の『心』をマネジメントできるツールでもあるのです。
「人事制度は統制と育成のマネジメントツールである」と定義します。
現在、中小企業が優秀で即戦力の人材を獲得することは、ますます厳しい状況下にあり
ます。そうなると、「いかに優秀な人材を採用するか」ということより、
「採用した人材が入社後にどれだけ成長するか」ということにウェイトをおくことが、
中小企業の成長発展のポイントになるのかもしれません。「ああしたい、こうしたい」という
高い意識を持った人材が、「この会社に入れば実現できる、成長できる!」と思える
仕組み(環境)を創ることが、中小企業が成長するための大きな武器となる得るのです。
人は機械とは違い、価値創出の不確定要素が多くあります。
故に多くの経営者は、システム化や仕組み化を推進し、属人性を排除しようとします。
もちろん、企業が成長するために業務の定型化や効率化は重要な要素であることは、
間違いありません。しかし、いくら優れた設備や商品・サービス、売れる仕組みを所有して
いたとしても、最終的にそれらを顧客価値へと誘導しているのは、社員(=人)であること
に変わりはありません。『運用』で失敗しては成果は摘み取れません。
『運用』するのは、やはり「社員=人」です。
この運用における『人』をマネジメントするツールが人事制度なのです。
次回は、人事制度と密接に関係してくる組織の成長フェーズについてお話します。
ご期待下さい。