長尾一哉の情熱熱風ブログ

第4話『組織に内在する矛盾の在り処』

第4話『組織に内在する矛盾の在り処』

2007年08月22日

 


今回は、どんな組織であれば成果を出す組織を創れるのかという

問いに対して、組織における様々な矛盾をヒントにして考えていき

たいと思います。



みなさんご存知の通り、組織には矛盾が溢れています。制度や

ルールで整理しても整理しても溢れてきます。社員一人ひとりは

それなりに組織のことを考えています。良かれと思って行動して

います。なのに、にっちもさっちも動かない状況が生まれてしまい

ます。やってられない。面倒臭い。私のように生来勝手な奴らは、

「放っておいてくれ!」と考えてしまい、関係を持ちたくなくなるの

です。「やることやっとけば良いだけだろ」と考えるのです。しかし、

そういう人間の考え方・行動がまた矛盾を生みます。そういう人間

の部下になる人は普通組織を好きになれなくなる。矛盾は次から

次へと製造されるのです。



エステサロンを都内で10店舗ほど展開されている企業の営業

本部長からこんな話を聞きます。「当社の理念はマイフェイバリット

カスタマー(私の大切なお客様!)です。社長は毎朝社員に向かっ

て『顧客第一』を伝え続けています。しかし、先月入社3年目くらい

のマネジャーが相次いで5名退職してしまったんです。理由は『社長

はお客様が一番、お客様のことを常に考えろ、お客様に尽くせという

けれど、月末になると数字数字と強制的にお客様に売ってこい!と

いうじゃないですか!?評価だって数字成績一本だし。私達がどれ

くらいお客様のことを想ってやってるかわかってない。もう騙されませ

ん。』 というんですよ。まあ彼女たちの言ってることも当然なんですけ

どね。私も正直、理念やビジョンなんてお飾りだと思いますし、経営者

の都合のよいツールですよ。」



顧客を第一に考え、売上・利益をしっかり取る。これは全く矛盾して

いません。しかし、この会社のマネジャーとあろうことか営業本部長

はこのことを矛盾と捉えているのです。こんなことを矛盾と捉えるから

「問題」となるのですし、こういうマネジメントをするから「矛盾」が横行

するのです。顧客第一=売上UPは当たり前。これに気付くかどうか

が矛盾を問題とせず成長のチャンスと捉えられるかどうかの分かれ

目かもしれません。ここで組織の成長速度が変わります。



特に大事なのはマネジメントをする社員の目線の高さです。この目線

の高さは個人の「考え方・価値観」に由来します。高い志に根ざした

理念が浸透し、向かうべき目標であるビジョンが明確になっていないと

マネジメント層の「高い目線」が育成でません。スキルUPと同時に理念

浸透に成功していれば、指示しなくても矛盾を一刀両断解決し、部下

を目標達成に向かわせる最良の考え方と具体的方法を先回りしてで

きるマネジャーが育つのです。



「考え方・価値観」は人の内側の深いところにあり、見えにくいものです。

だから管理がむずかしいのです。制度やルールでは非常に矯正しにくいものなのです。


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